シナリオ 魔導院の指令~進化の秘義を追え~
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チャプター 1
ルー「勇者様いつも私たちのために戦ってくださってありがとうございます。
おかげさまで、少しずつですが、夢ノ国は平和を取り戻していると感じています。
……でも……あの……勇者様、ずっと戦い続きで、お疲れじゃありませんか?
ここ2、3日ですが、夢ノ国はとても安定していて平和です!
……ですので、少しの間かもしれませんが、どうかお身体をお休めになってください。
その間は、どんなことがあっても私たち神官でここを守りますから♪」
いつ何が起こるか分からないため安全とは言い切れない状況なのだが、
ルーの強い気持ちに圧されて、束の間の休息を取ることにした。
思い返してみると、ここに来てから、たくさんのことがありすぎて、
ゆっくり休めたことがなかったなぁ……と初めて思った。
身体の中に、新鮮な空気を取り入れてリフレッシュしようと思い立ち、森へ散歩に出かけた。
ゆっくりと歩きながら改めて色々な場所を見渡してみる。夢ノ国は自然が多く過ごしやすい場所だ。
― みんなのためにも、一刻も早く平和を取り戻したい ―
チャプター 2
ここ最近、自分の身に起きた出来事をぼんやりと、とりとめもなく思い起こしていると、
突然視界が揺れ、歪み始めた。
くっ、やはり疲れがたまっていたのか。疲れが一気に身体の外側に放出されて、気が遠くなるのを……
……感じなかった。
……違う! 実際に世界が歪んでいるのだ。― また界蝕か!? ―
見知らぬ世界の"一部"と夢ノ国の"一部"がつながり、融合しているのだ。
これが起こる時特有の気持ち悪さに身もだえ、膝をついているとしばらくして歪みはおさまった。
見知った森とは少し様子が異なる場所。知っているようで知らない場所。その森の入口には、少女が倒れていた。
急いで、少女を揺り起こす。
少女「……う……ん?……こ、ここは?……えっ、あなたは誰!?」
チャプター 3
意識を取り戻した少女に、自分が知っている限りの状況を説明しようとしたその時、
少女に対して、通信連絡が入った。
「……レ……ム……レム!つながった!! おい、大丈夫か!?緊急事態だ。
恐らくだが……時空間の歪みが発生して、君を含めた候補生7人が行方不明になった。
今、唯一連絡が取れたのが、レム、君だ。君がいるそこら辺一帯はとても危険だ。
この世界の一部が別の世界とつながりかけている。
現在、魔導院では総力をあげて、元に戻す方法を探っているが、解決にはまだ時間がかかりそうだ。
さしあたってこの境目にいる候補生たちには、急ぎ魔導院に戻ってもらう。
そして君には、連絡が取れない6人の候補生の生存確認を行ってもらいたい!
いいな? 君にしかできない任務だ。時間がない。急ぎ6人を見つけ出し無事帰還してくれ!
クリスタルの加護あれ。」
レム「えっ、えっ、どうしよう……世界の一部がつながりかけてる? みんなが行方不明? どうしよう。
あの! ……私は魔導院ペリシティリウム朱雀の候補生のレムです。
レム・トキミヤといいます。
さっきの連絡は候補生総代表のミユウさんからです。えっと、今、あなたにも聞こえていましたよね……
仲間の候補生が行方不明なんです。みんなを探すのを一緒に手伝ってください!」
― まだまだ休息は取れないらしい ―
チャプター 4
マキナ「っっ……ん……、ここは……どこだ?思い出せ……目の前がいきなり揺れだして……
……それから……思い出せない……落ち着くんだ、
オレは……オレは朱雀の候補生で、イザナの弟で……2組で……、レムの……幼馴染で……? オレは……」
レム「あ、マキナ、見つけた。よかった……無事で。
あのね、マキナ、ミユウ総代から連絡があったんだけど、ここら辺一帯に時空間の歪みが発生して、
別の世界とつながりかけているらしいの。
今、魔導院のみんなが、元の世界に戻すように頑張ってるけど、それには時間がかかるって言ってた。
ここに長くいるのは危険だよ。マキナは急いで魔導院に戻って。
私たちは、残りのみんなを探しに行ってくる。必ず戻るから、あとで魔導院で会おう。」
マキナ「レム、ここは……朱雀じゃないのか? 特に変わった様子はないようだけど……。
でも、レムがそう言うなら本当のことなんだよな……わかった。
レムの言う通り先に魔導院に戻ってるよ。レムも危険だと思ったら、オレに連絡してくれ。
レムのためだったら、俺、どこにいても駆けつけるから。」
チャプター 5
ナイン「あぁん? ったく、あいつらどこに行たんだぁ? さっきまで一緒にいたはずだよな?
んだよ? 探そうにも似たような景色で全然道が、わかんねぇぞ、コラァ!
ハッ! 迷子になったなんて、トレイに笑われるぜ。」
レム「ナイン! こんなところにいたんだね。探したよ。」
ナイン「おぉ! レム! レムじゃねーか!さっきまで一緒にいたやつらが、どっかに消えちまったぞ。
オイ、俺が迷子になったわけじゃねぇからな! 勘違いするんじゃねぇぞ、コラァ。
ところで、あいつらどこ行ったんだ? やっぱ俺が迷子になってたのか?」
レム「違うよ。迷子とかじゃなくて、世界がおかしくな……
ごめん、今はきちんと説明している時間がないんだ。
ここは危険だから、ナインも早く魔導院に戻って。」
ナイン「戻る? 今から任務じゃなかったのかよ! それを戻れって……
それより、誰だそいつ? 見かけねー顔してるじゃねぇか。
おいお前! 俺と常識勝負しやがれ、コラァ。」
レム「今は、そんな場合じゃないよ。危険だから早く魔導院に戻って。」
ナイン「……ぁんだよ。」
チャプター 6
シンク「みんな、どこにいるんだろう?誰か遊んでくれないと、つまんな~い。眠くなってきちゃった。」
レム「あ!シンク、ここにいたんだね。
あのね、急いで、魔導院に戻らないといけなくなったの!シンクも早く戻って。」
シンク「レムっち、焦り過ぎ~。何言ってるか全然わかんないよぉ~。
わたしはいつでも元気だよ~。ミッションでもいっとく?」
レム「もう……のんびりしてる暇はないの!さっきミユウ総代から連絡があってね……」
シンク「わかってるって~、レムっち。説明不要! 言われた通り素直に戻りますよ~。」
レム「シンク……本当に大丈夫かしら?」
シンク「大丈夫大丈夫~。朱雀の空は、今日もキレイでありま~す。ではでは、またあとで会おうねぇ~。」
チャプター 7
デュース「遊ぶ時は思いっきり遊ぶ。ですね……ってみんなどこに行ってしまったんでしょう?」
レム「デュース、ここにいたんだね。探したよ。」
レムは、デュースに今までの自分の知りうる限りの身に起こったことを話した。
デュース「そういうことですか……。
わたしの知る限りでは、今までにわたしたちの世界で、このようなことは起きたことがありません。
とするとですが、原因はもう片方の世界、つまり、つながろうとしてきている世界側にあるのではないでしょうか?
もしかすると、そちらのかたが何か知っているのではありませんか?」
デュースに視線を送られた。突然の振りに驚きを隠せなかったが、考えると思い浮かぶことがあった。
確かに、夢ノ国では、黒キ者のせいで、今までも界蝕が起きていた。
レム「その可能性がある……ということですね。」
デュース「ミユウ総代なら、何か解決策がわかるかもしれません。
わたしは急ぎ魔導院に戻って、このことを報告してきます。
レムさん、くれぐれも慎重に。また後で会いましょう。」
チャプター 8
クイーン「ときには休息も必要です……」
レム「クイーン、あの……大変なの。わたしたちの世界が、ほかの世界とつながりかけてるみたいで……」
レムは懸命に、クイーンに今までのこと、そしてデュースの考えを話す。
レムが話し終わるまで、クイーンはじっと話を聞いていた。
そして、レムが話を終えると、クイーンはゆっくりと慎重に話し始めた。
クイーン「「原因はもう片方の世界、つまり、つながろうとしてきている世界側にある」ですか……
わたくしもデュースの説は大いにあると思います。
それに、そちら側の世界では、今まで何度かこの事態を終息させることができたということですよね。」
レム「そっか。勇者さん、今までどうやって元に戻したか知りませんか?
それさえわかれば、なんとかなるかもしれません。」
トト「正解~。ごめんね、まさか勇者のヒトが巻き込まれてるとは思わなかったよ。
そうなんだ。また界蝕がおきてしまった。この辺一帯にね。 誰もいないと思ってたのに勇者のヒトが、
散歩してるだなんて……。とにかく、ボクたち神官が事態の収拾をしている。
なんとか抑え込めそうなんだ。だから、早くもう一人を探して、そこから離れてね。」
クイーン「なるほど、ここでのんびり議論している暇はなさそうですね。
レム、わたくしは一足先に魔導院へ帰り、総代とこちら側がとれる対応策を考えます。
またあとで会いましょう。どうか無事に戻ってください。」
チャプター 9
エース「たまには、のんびりするのも悪くない。」
レム「あれ!? エースの声が聞こえる。エース、どこにいるの?」
エース「ん? レムの声……ここだ!僕はここだ!」
レム「あ、エース! やっと見つけたよ。この辺一帯に時空の歪みができて、長くとどまるのは危険なの。
もうみんな魔導院に避難してる。一緒に戻ろう。」
エース「時空の歪み……? レム、一体何が起きてるんだ?」
レムはエースにこれまでのことを話した。
エース「なるほどな……。僕等の世界の他にもうひとつの世界か……。
信じられない話だけど……ありえないことではないよな。」
レム「……エース。」
エース「レム、大丈夫だよ。さぁ、戻ろう。みんな、僕等の帰りを待ってるんだろ?」
チャプター 10
6人の訓練生を無事に見つけ、朱雀に戻るため森の入口へと戻るレムとエース、そして勇者。
森の入口付近に差し掛かった時に、界蝕は視覚化できるようになっており、世界のつなぎ目は
視界で確認できるサイズとなっていた。神官や朱雀の人々の力もあってか、界蝕は収まりつつあった。
すると、レムの元にミユウからの通信が入る。
ミユウ「レム、ご苦労だったね。エースも無事でなによりだ。
勇者さん、レムに協力をしてくれたそうだね。礼を言うよ、ありがとう。
レム、エース、間もなく僕等の世界ともう一つの世界が切り離されて、それぞれが元の世界に戻りそうだ。
みんなが二人の帰りを心配しているよ。さぁ早く魔導院に戻っておいで。それでは。」
エース「ありがとう。僕等の世界とあなたの世界は違うかもしれないけど、会うことができてよかった。」
レム「勇者さん、私たちの世界もあなたの世界と一緒で、戦争が続いているんです。
今はまだ戦いの日々だけど、平和はきっと……ううん、その戦争を終わらせるのが、
私たちアギト候補生の役目だから。平和が訪れるその日まで、お互い頑張ろうね。
ありがとう、勇者さん。」
瞬く間に、視界がゆがみ、揺れて一瞬目を閉じた。
………………界蝕は収まり、
元の世界が広がっていた。
ハムト「また厄介な事に巻き込まれたのニャ。ハムトは知っているニャ。今回はアギトコラボなのニャ。」
ルー「あぎと?」
ハムト「きっと何かもらってるニャ。何もしていない様に見えて何かが起こるんだニャ。」
さっきまで一緒だった少女たちは、もういない。
違う世界。本当にそれは存在するのかもしれない。
目に見えているものだけがすべてではない……
ふと森の入口の隅に目をやると、桃色のマントの切れ端が落ちているのを見つけた。
マントを拾い上げた時に、さわやかなそよぐ風と共に少女の声が聞こえた気がした。
――勇者さん、頑張って クリスタルの加護あれ ――
ハムト「……せっかくのアギトコラボなのに、出番なかったニャ!!」
FIN
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